木工のススメ Vol.1

木工のススメ Vol.1

最近教室で尋ねられる事があるのです。造園屋さんについてのこと。庭の作り替えや希望を申し立てても、結局既存の庭は全て破壊され新しい構造物による庭造りが行われる。雑誌を頼りに数件当たってみたが結果は同じ。全て工事が優先事項であり、既存の庭に対してのアレンジの気持ちをプロは誰も持っていない。

 

この様に書くと業者は「我社はそのような事はない」と言うでしょうが。ご婦人の希望は亡きご主人との思い出を大切にしているためでした。庭のプロが少ないなら、自分でアレンジするしかない。構造物はつるバラと切っても切れない親密な関係にあります。庭のイメチェンに不可欠な木工仕事に付いて少し考えてみましょう。

 

木材は専門の材木屋さんに頼むのが最も安心です。専門家に作りたい形態や目的を話し、見合った材を見立てて頂くこと。また、日本の林業を支援、山や国土保全の意味合いから国産材を用いるのが筋道立ったところです。しかし、そうは言っても近くのホームセンターで 2 × 4 材を購入し、軽トラを借りて自宅まで運搬するのが最も手軽です。まずは庭の習作的な感覚で取り組んでみましょう。そして何時かは材木屋さんに。

道具

鋸は安価で非常に優れたものがホームセンターで入手可能です。私の子供の頃からは雲泥の差です。2,500 円以内で選ばれると良いと思います。ノミも時として非常に役立つ不可欠のアイテム。安価なセット物を購入し、砥石で研ぎ込んでおけば実用上ほとんど不足は有りません。

 

カンナは素人には手に負えない部分があるのでホームセンター等に依頼するか、紙ヤスリまたは木工用のサンダー等で対処してください。

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鋸は木材をカットするために不可欠。だから切り方を正確に行う必要が有ります。寸法取りは鉛筆で墨入れします。鋸の刃を観察すれば構造が理解できます。寸法に合わせた線の上を鋸で切ると切下した部材が長さ不足になります。鋸の刃に幅があるためです。寸法線の外側にノコの刃を合わせて切らなければならないのです。

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鋸を真っ直ぐ狙い通に合わせます。ノコ刃が揺れるのは己の精神の歪み不安定さが表われたもので、ばら園では村田だけでしょう。

 

鋸を持つ体制が不安定な状態では揺れて真っ直ぐに切れません。鋸を持つ腕の振り方を安定させる為に、先ずするのは鋸の引きやすい高さ、その状態を創り出すことです。木材の切断に要する力は僅かです。鋸が重く引きづらいと感じたら、それは切断面に歪みが出ているからです。

 

本来鋸の重さだけで木材は切断できます。軽く慎重に揺れないように引けば必ずスムーズに切断できます。

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マーキングしたラインの外側に鋸を入れる。

 

正確な切断に欠かせないのが材料の固定です。材が不安定では狙いのカットはおぼつきません。この場合は材を切りやすい状態にシッカリと固定すれば鋸の運動、腕の運動もスムーズで精度が高まります。

 

材木を安定させるための固定に用いるのはバイス、万力です。木材用のバイスが市販されています。ない場合は金属用のバイスに薄い板や布で木材に傷付かぬよう配慮します。このバイスを作業台等に固定して木材を安定させます。バイスで木材を安定させれば素人でもかなりの精度を保つ事ができます。

 

寸法通りの部品が出来れば完成まではそう遠くは有りません。ホゾ組みは木材の組み立てには必要不可欠です。ぜひ挑戦してみましょう。鋸の切り方が分かっていればさほど難しくは有りません。

 

ホゾ穴が必要な場合、ノミでいきなりホゾを掘るのは初心者では無理です。ホゾを掘る位置決めが済んだらドリルの力を借りて、あらかじめ中心部に穴を空けておきます。目印の線の内側に沿って出来うる限り内側に穴をあけます。後はノミの刃を線の内側に合わせ、木槌か玄能で少しずつ切り進めれば意外と簡単です。ノミの刃は垂直を保ちます。難しいのは深さを均一にすることと四隅のカットです。細い木工用キリをドリルにセットし四隅に穴を空けておくとスムーズに行きます。

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ホゾは部材を傷めない程度に固くキッチリ組んだほうが強度も増し仕上がりにも一体感が得られます。ホゾ組の成否を握る鍵も鋸による材木の切断精度にかかります。用途により、様々なホゾの形態が有りますが、我々素人の出来ることはせいぜい真直ぐな工作ぐらいです。これでもホゾで組むことがビスや釘の使用を最小限に抑え、仕上がりをよりきれいな状態にできます。

 

組み上がったら地中に入る部分と地表に出る部分に塗装をします。塗料は様々に市販された塗料から選びます。何れも水性塗料が扱いやすいでしょう。

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ガーデニングショーなどで使ったのはツヤ消しのオリーブとホワイトの組合せです。木材の地表に出る部分から塗装に入ります。木材が乾いているとペンキを多量に使います。木材の表面が吸い込むのです。ですから水に濡らした雑巾を軽く絞り木材の表面に水分をかけます。 1 回か 2 回、事前に軽く拭くだけでペンキの刷毛はスムーズに塗料を木材表面に置いてゆきます。

 

地中に入る部分には防腐剤を塗布します。地中部分には事前にマスキングテープで目止めをかけ、マスキングテープに少しかかるぐらいで地上部分のペンキを塗布しておきます。ペンキが乾いたらマスキングテープを外し、地中に入る部分へ防腐剤の塗布をします。こうすることで防腐剤が地表部分に染み出す事を防げます。

 

コンクリートでシッカリと基礎を固めれば。と考えがちですが、庭の模様替えが前提にあります。固めすぎて容易に移動できなければ、これだけで気持ちは萎えていきます。いつでも自在に移動できる事があくまでも必要なのです。

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それではせっかく作ったアーチがもったいない、いえいえ、また作れば良いのです。もっとカッコいい奴を。だから最低限の強度は保ち、なおかつ思い立ったとき、アイディアの霊感に包まれたとき、すぐに実行出来る様な状態をキープする。これが自分で作る庭の面白さです。


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